日記
そういえば世の中がみんな休みのときに帰省するとこんなことになるんだったな、と思い出すような帰省であった。新幹線ホームは大混雑、名物料理のお店は大行列。今回はそういうのはもう早々に諦めて、ごはんはほとんど実家で食べ、外ではコーヒーを飲んで、あとは川べりをぷらぷらしていた。初夏の川はほんとうに気持ちがよくて、いつまででもいられるようだった。
父が山菜ハンターとしての能力を遺憾無く発揮してくれたおかげで、実家では山菜づくしの歓待をしてもらった。行者にんにくとたらの芽とこしあぶらの天ぷら、こごみの胡麻和えにたらの芽のくるみ和え、わらびと鯖のなまり節の煮物、しどけのお浸しにこしあぶらの炊き込みご飯。山あいの旅館に泊まって出てきたら小躍りしちゃうようなメニューを用意してくれて、妻も僕も大喜びであった。
翌朝いった朝市(盛岡にはほぼ毎朝5時からやってる朝市があり、季節の農産物や山の幸が並ぶのだ)でもたくさんの山菜が格安で売っていたのだけれど、どれもこれも昨日もう食べたやつなんよね…となってしまい、本来ならもっと高まるべきところいまいち気持ちが盛りあがらず、餅や唐揚げや梅干しなどの当たりさわりのないものを買ってなんとなくお茶を濁してみたりしていた。
それから、これは盛岡で飲んだコーヒーの中でいちばん美味しかったコーヒーで、
これはいままで見たなかでいちばん雑に作られたたぬきケーキ。
あと、公園のベンチに座りながら鳩の首のところの色合いを見て映画「ムーンライト」のことを思い出したりもした。
見なれた、しかし美しい風景を眺めながら、次にこの風景を見るときは子どもと一緒なのだろうな、と思い続けていた。
概ねそんなような帰省であった。