bronson69の日記

いつか読み返して楽しむための文章。

2020

2020年だった。ものすごく慌ただしくて、ありえんほど不穏で、この上なく不安で、とどのつまり何も変わらない一年だった。コロナのせいで世の中はものすごく変わった、変わったような気がした、でもいま振り返ってみると結局何も変わってなかったように思う。オウムや9.11や震災といった過去の事例と同じように、日常は変化を丸呑みにして図太く続いていった。その中で僕らは、寝て、起きて、食べて、働いて、世間話をしたり、悲しんだり、寂しかったり、嬉しかったり、散歩をしたり手をつないだりした。ユニクロがセールをやるたびに通販をやってしまい、今後5年はTシャツに困らないぞってくらいTシャツばかり買っていたことが年末の掃除のときに判明したりした。Tシャツの他にも買い物をたくさんした。在宅勤務のためにデスクを買って、モニターを買って、クッションを買って、でも結局のところあんまり家では仕事をしなかった。その分、通勤用に買ったネイビーのレザートートが大活躍したので一勝一敗みたいな感じでよかった。

消費といえば、今年はよく遠出をした。夏には大阪へいった。人のいない時間に、人のいない場所を歩いてまわった。大阪は、美しかった。日曜の夕暮れの誰もいない北浜、深夜の中之島、早朝の天六うどん屋


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ここのうどんがあんまり好きで、3日連続通い詰めてしまった。

 

他にも小田原の江之浦測候所にも行ったり、

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彼女のご両親を僕の地元にご招待して、綺麗な場所を見てもらったりした。


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いろいろなものにお金を使って楽しく過ごした一年だったけど、いちばん良かった使いみちは、彼女に指輪を贈ったことだったと思う。二人でそれっぽいジュエラーをいくつもまわって、たくさんの指輪を試した。最終的に僕らが気に入ったのは、かわいらしい蝶のかたちをした、ピンクと緑の貴石をあしらったゴールドの指輪だった。薬指に嵌めるには少々大きくて、お直しもできないと言われたけれど、そんなことは問題じゃなかった。その指輪はほんとうにキュートで素敵だった。試した瞬間、これしかないって二人とも思った。こんな指輪だったらちょっとやそっとのいやなことがあったって指を見るだけで元気が出るね、と彼女は言ったし、僕が贈りたかったのもまさにそんな指輪だった。

僕は彼女に素晴らしい指輪を贈りたかった。出会ってから今日までの思い出、気持ち、空気、そういうものの素敵さに負けないような、素敵な指輪を贈りたかった。ちょっとやそっとの憂鬱なんて一発で吹き飛ばせるような指輪を贈りたかった。そういう指輪を二人で探して、二人で見つけて、試着して素敵さにため息をついたり、帰り道で幸せな顔で笑いあったり、そういう記憶を留めておきたかった。

幸運なことに、結果としてすべてがそのようになった。僕は彼女に理想どおりの指輪を贈った。僕らが婚姻届を出した日からちょうど一週間後のことだった。

 

2020年はこのように過ぎていった。

愛と喜びと悲惨と理不尽とが綯交ぜに存在して、それらすべてがかけがえのないものだった。

いつもと同じ、美しい一年だった。