bronson69の日記

いつか読み返して楽しむための文章。

海の続き、備忘録

土曜の海の続き。結局、海にいたのは8時すぎから12時の手前まで。3時間半もぼんやりと海を見ていたことになる。2.5リットルのビール、サングリアの小びんを一本、それとブルボンのおいしいココナッツミルク。それらをすべて飲み干し、そのほとんどを汗で失い、おおよそプラスマイナスゼロの状態で浜辺を後にした。葛西臨海公園駅からバスで葛西駅に移動し歩くこと5分、前から来てみたかったインド料理のお店「レカ」へ。線路沿いの住宅街の一角。店の向かいには駐車場と謎の鳥居。

 
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鳥居と参道と灯籠があり、社がない。バカには見えない神社なのか。それともその昔、悪い大工が「徳の高い神様にしか見えない最高級の神社ですよ、神さまにはもちろん見えてますよね」などと甘言を弄してご利益だけせしめようとしたのか。事情はわからないが、とにかく鳥居と参道と灯籠と、それから美味いインド料理屋だけがここにはあるのだ。

 
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美味いインド料理屋は美味いだけでなく親切なので、遠方のお客様向けに、4種の日替わりカレーとチャパティに加えてビリヤニまでも楽しめるスペシャルセットがある。このビリヤニがめちゃくちゃ美味い。カレーももちろん美味しいのだけれど、でも僕がもう一度この店に行くときは、ビリヤニを単品で頼みたい。そのくらい美味しい。あとチャパティも美味しかった。半分くらい、カレーをつけずにチャパティだけで食べてしまった。この店は炭水化物のクオリティが非常に高い。大満足で食事を終え、店の片隅の物販コーナーでちょうどなくなりそうだったホールスパイスをいくつか購入し、上機嫌で帰路につく。海辺の日差しと本場のカレーでたっぷりと汗をかいたので、こりゃあとは銭湯だな昼風呂だな、きっちり仕上がったら鰹で日本酒でもキメたろかな、そんな悪だくみをしながら帰宅、気づいたら倒れて爆睡、起きたら夜で外は豪雨。新宿は豪雨。銭湯は後から考えることにして、とりあえず服を着替える。日に焼けた腕がむず痒い。しかし腕なんぞ問題にならんレベルで足の甲がむず痒い。見るとサンダルのベルトの型にくっきりと日焼け。そういえば足の甲には日焼け止めを塗り忘れていた。手足も顔も首筋もバッチリだと思っていたのに。いまなら耳なし芳一の体にお経を書いた和尚様の気持ちがわかる。そっかー、耳かー。耳なー。だよなー。あー。

 

あと備忘録的にいくつか最近あったことを。ダイアログ・イン・ザ・ダークに行ってきた。真っ暗闇の中を、初対面の数名でチームを組んで、視覚障害者のガイドに従って進む、という体験型エンタテインメント(?)。なんかちょっと意識高い感じというか、研修みたいな、「気づき」を得て帰りましょうね、みたいな空気を漂わせているやつなのだけれど、そういうのは置いといて、エンタテインメントとしてとても面白かった。ドラクエやってるような気持ち。たまらないワクワクと冒険心。視覚がまったく役に立たない世界を、白杖の触覚と声による情報共有だけで進んでいく。丸木橋を渡るだけですげえ楽しいのだ。震えるほどの感動はないし、世界観が変わることもなく、新たな気づきといえば「暗闇は楽しい」くらいのものだったのだけれど、それで充分!と胸を張って言えるくらいには楽しかった。

体験の最後、少しだけ明るい部屋があった。大きなテーブルとイスがあり、腰を下ろした我々には丸いカードとペンが配布された。今回のワークショップのテーマは「出発」でした、出発という言葉でみなさんはどんなことをイメージしますか、頭に浮かんだ言葉をカードに書いてみてください。ガイドさんが言った。僕は少し悩んで、遅刻、と書き、少し書き足して、遅刻寸前、とした。遅れそうになることはままあるが、本当に遅れてしまうことはあんまりないのだ。ピチカート・ファイヴの歌に出てくるあの言葉、飛行機に間に合えばそれはそれでいいんじゃない、あのフレーズの通りにこれまでを過ごしている。いつもギリギリではあるけれど、どうにかこうにか間に合い続けているのだから、それはそれで、いいんじゃない。

 

浅草でやってたナカゴー「ていで」の初日を見た。七時半開場、仕事を終えて劇場付近に着いたのがちょうど七時半、お腹はすいているけれどしっかりした食事をとるほどの時間はない、さてどうしたものかと考えながら歩いていると、劇場の並びにかなり年季の入ったラーメン屋を発見。半オープンエアーのその佇まいに押されつつも意を決して食券を購入。冷やし中華は可もなく不可もないお味、しかし冷水機から汲んだ水は少量を口にしただけで脳が反射的に拒否する味だった。飲まれることを拒否する水。岡本太郎イズムだろうか。そういえばカウンターの椅子も傾いてグラついていたな、あれはいずれ座ることを拒否する椅子になるのだろうな。お芝居は、うん、とても面白かった。けれど、何ていうか、普通に面白かった、という感じ。なにこれこんなもの見たことない、なんだかすごいものを見てしまった、みたいな感じにはならなかった。相性なのか、集中力か、読解力か、それとも初見で文脈が共有できていないからなのか。なんだかわからないけれど、きっちり味わえていない感じがしてとても悔しい。多くのひとが味わっている美味しさを自分だけ理解できてないみたいなこの感じがとてもとても悔しい。あの水のせいだろうか。あの水を含んでしまったせいで、味覚が狂ってしまったのだろうか。うーむ。別の公演も見てみたいなあ。

 

まだ何かあったような気もするけれど、7月の終わりは、とりあえずこんな感じだった。