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bronson69の日記

いつか読み返して楽しむための文章。

「そして夜は明ける」

そして夜は明ける

「そして夜は明ける」鑑賞。
バリバリネタバレありの感想。













150年前の実話を元にしている、
というか体験談ほぼそのまんまなので
筋書きは非常にシンプル。
だけど極端な長回しと名演でまったく飽きさせない。
ラスト近く、開放されるシーンも
「いきなり友人が迎えにきて帰宅」ってなもんなんだけど、
そこまでで感情移入がバッチリなので自然に涙ぐんでしまう。
セリフや伏線に頼らない映画はひさびさだった。

唯一つ心に残ったセリフがあった。
終盤、農場主のマイケル・ファスベンダーがお気に入りの女奴隷を鞭打つシーン。
ファスベンダーは、明らかに女奴隷を愛している。
しかし、本人はガチガチの南部の男だから、奴隷に恋しているなんて絶対に認めない。
対外的に、ではない。
自分に、だ。
黒人差別は内面化されている。
泣き叫ぶ奴隷を鞭打ったファスベンダーに主人公が言う。
「これは罪だ、いつか報いが訪れる」と。
ファスベンダーは応える。
「これは罪じゃない、俺の所有物を好きにしているだけだ。
  俺はこれが大好きだ、奴隷を責めているときほど心がすーっとすることはない。」
魂がどこかに行ってしまったような、空っぽの表情を浮かべながら。
自分の愛を裏切って生きるのは、死んでいるのと同じことだから。

いい映画だった。