bronson69の日記

いつか読み返して楽しむための文章。

お買い物

どうも一週間が早いように思う。月曜の朝、目を閉じる、手を叩く、はい金曜の夜。体感的にはこんな感じ。どうも時間の流れが加速している。光速に近づいている。もしや最近の体重の増加はそういうことか、亜光速では質量が増えるって例のアレか。

 

すこし前の休日の話。なんだかぺしゃんこに潰れた気分でいっぱいで、とにかく優しくされたくて、それで映画を見に行くことにした。「タレンタイム」ってマレーシアの映画。まったく知らない作品なのだけれど、Twitterで誰か知らない人が「世界でいちばん優しい映画」と書いており、導かれるようにチケットを取ったのだった。早起きして井の頭線に乗り、道玄坂の路地を抜けてアップリンクへ。アップリンクの最前列の椅子、大きくて座り心地はよいけれど、座面がメッシュなのでこの時期はめちゃ寒い。というかそもそも暖房効いてなさすぎ。借りた毛布で身体の前面はなんとかなったが、背面はダメだった。メッシュ越しに冷気が直でくる。結果、暑そうなマレーシアを見ながらガタガタ震える羽目になってしまった。おかしいな、優しさに触れたくてここに来たはずなのに、優しくされてる感じがしない。映画は確かに優しいけれど、映画館が優しくない。ダブルバインドだ。殴りながら優しくする男みたいな。ヤクザの手法だ。離れられなくなるやつだ。怖い怖い。

映画の後は虎子食堂で見目麗しいカレー。
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ランチタイム外れてたせいか、客は自分ひとりだった。広めのダイナーみたいな店内は化石みたいに静まりかえっていた。映画館で冷えたせいか、ぼくの首すじはガチガチに固まっており、そのせいでひどい頭痛がした。スパイスを摂取すればよくなるだろうかと思ったがそんなこともなく、痛むこめかみを押さえながら、教科書の写真の芥川龍之介みたいな不機嫌な顔でひとり黙々とカレーを食べた。

 

また別の日。近所で新たに間借り営業を初めたというカレー屋さんでランチ。
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こんな端正なミールスが1200円。しかも全品おかわり自由。追加でたのんだ牡蠣のアチャールも低温調理されたラムチョップもとても美味しかった、でも何よりすごいのは基本のミールス。シンプルで素朴でそれでいて洗練されている。比喩でなく毎日食べれるやつ。ミールス頼むときはついノンベジにしてしまうのだけれど、ここのはベジで充分だと思える。書いてたらまた行きたくなってきた。近いうちに行列店になるのではないでしょうか。あ、お店の名前は「とらや食堂」です。

ご飯のあとは井の頭公園へ行って水のない池を見た。
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湖底(池底?)をみながら池の周りをぐるりと一周した。水の湧き出すところを探したり、池と川の境目に立ったりして遊んだ。休日の公園には大道芸人やらハンドクラフト売りやらが何人もおり、セミプロよりもう少しアマよりの腕前を楽しそうに発揮していた。似顔絵を描くひとがおり、見本を並べているので見てみると、6枚の見本のうち2枚が北斗晶、2枚が佐々木健介、2枚が北斗&健介だった。似顔絵師はいままさにカップルの似顔絵を書いており、どんな絵を描いているのか気になったが、怖くなって覗きこむのはやめておいた。いつだって狂気は日常の中に潜んでいる。僕らの平坦な戦場。僕らの愛。

それから古本屋をめぐり、レイモンド・ブリッグスの「おぢさん」と「風が吹くとき」と岸本佐知子編「変愛小説集2」を買った。彼女が机をほしいというので家具屋を巡り、ついでにココナッツディスクでSaToAと台風クラブのアルバムを買った。どうも最近は買い物づいており、出かけると、いや家にいても、すぐに何かしらを買ってしまう。最近買ったものはこんな感じ。手塚治虫きりひと讃歌春日太一「あかんやつら」ウディ・アレンウディ・アレンの浮気を終わらせる3つの方法」(ウディ・アレンの浮気を終わらせる方法についての本かと思った、そんなもんあるわきゃないよなーと思ったらやはりそういう本ではなかった)、松家仁之「光の犬」、谷口菜津子「彼女は宇宙一」、あと「左門くんはサモナー」の全巻セットも買ったし「鉄塔武蔵野線」のDVDも買ったしオートモアイさんの画集も買った、さくらももこの初期エッセイ3部作も買ったし上田とし子「フイチンさん」「お初ちゃん」も買った、フイチンさんに至っては傑作すぎたので2セット買った。1つは母親の誕生日プレゼントにする予定。母親が子どものころに読んでいたという虫コミックスが実家にあり、僕も子どものころに読んでいて、それで完全復刻版を買ってみたら、虫コミックス版の続きが載っていたのだ。それにしてもこのマンガは面白い。ストーリーやキャラクターもそることながら、このひと半端じゃなく絵が上手い。いま読んでも洗練されている。高野文子が絵柄を真似たというのも納得。最近の人だと近藤綾乃さんの描く線に似てると思った。とにかく良いので興味のある方はご覧になってみてください。アマゾンだと上巻は高騰してるのでまんだらけの通販がオススメです。定価以下で買えた。

 

 

 

 

 台風クラブの「初期の台風クラブ」を気に入りすぎて毎日聴いている。Theピーズのバカ度が低めの曲ばかり入っているような、そんなアルバム。要するにすごく好きなアルバムだということです。こういう世界観はほんとたまらんもんがある。うだつが上がらず、金もなく、未来が見えず、安アパートの一室でひたすら時間を浪費するような生活。このままでいいのかって不安と焦燥感、でも闇雲に走り出せるほどのエネルギーも度胸もなく、楽しいことがないわけじゃない、死にたくなるほど鬱々としてるわけでもない、どうしていいかわからずに、とりあえず集まって、酒飲んで、酔って潰れて眠るだけ。そんな感じの毎日にはどうしたって詩情が生まれてしまう。なんなんだろう。あまりにもグッと来て久々に晩酌してたら勢いがついてしまい、段ボールからいましろたかしの「ハーツ&マインズ」を引っ張り出し、古本屋まで行って「独身アパートどくだみ荘」を買い、アマゾンで椎名誠の「哀愁の街に霧が降るのだ」を注文した。私は何をしているのだろう。完全にお買い物中毒な今日このごろである。

 

 

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