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bronson69の日記

いつか読み返して楽しむための文章。

何の話

酒漬けになっていたら時間が吹き飛んだ。

 

なんだろうこの感じ。朝まで飲んで帰宅して寝て昼過ぎに起きる、そんなの普通すぎてあるあるすぎて、で?何?ZARAはどこ?って感じなんだけど、きょうの感じはいつもと違う。何が違うのか、ってなんだろこの違和感はなんか言語化しにくいな、なんて言えばいいんだろ。記憶がなくなってるわけじゃない。きょうはむしろ記憶が残ってるほうだと思う。まだ酔っ払ってる?いやそんなこともない。寝る前に水をガブガブ飲んだおかげで体調は快調。睡眠時間も長かった。佐川とヤマトに起こされながら、トータル六時間は寝たもんな。

ほんとなんなんだろなあ、この感じ。記憶はあるけど記憶に現実感がない。ついさっきまでみんなで飲んでた、って実感がない。ほんとに飲んでたのかな。あれは夢?あるいはもっと昔の出来事?飲んでたのはつい数時間前のことのはずなのに、ぜんぜんそんな感じがしない。なんだかずいぶん昔の出来事のような。一月前の出来事だって言われたほうが納得感がある。あれから一週間あなたは昏睡状態だったんですよ、と言われたほうが腑に落ちる。ほんとうのあなたは培養液の中に浮いた脳味噌だけの存在で、すべては電気信号が見せている夢なのですよ、と言われたほうが釈然とする。

どうせなら服が血まみれになってたり、なんか奥歯にひっかかってんなあと思ったら長い髪の毛が何本も出てきたり、腹に覚えのない手術痕があったり、そういうミステリアスななにかがあったらもっと面白いのにな。血まみれのバスルームには血まみれの鋸、排水口には自分以外の誰かの髪の毛と歯の欠片。そこから始まるミステリー。面白くねえよ。嫌すぎる。どうせミステリーが始まるなら、ベッドで見知らぬ美女が寝てる、ってほうがいいな。つーかなんでそっちが先に出てこないんだろ。ホラー的な、猟奇殺人的な匂いのする想像が先に出てきちゃったんだろ。同じ妄想だったらハッピーな妄想がいい。ボーイミーツガールの匂いがするほうがいい。もうボーイって歳でもねえけどな。

なんの話だっけ。忘れてしまった。ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね。でもすべてってなんだろう。忘れてしまったぼくたちはもう「すべて」がなんだったのかさえわからなくなってしまった。ほんとうは何ひとつ忘れてなんかいなくて、いま覚えていることだけが「すべて」なのかもしれない。忘れてしまうということと、はじめからなかったことと、ふたつのあいだに違いはあるのかな?

なんか学生演劇のチラシに書いてそうな文章ですが、これにははっきりと答えがあって、「忘れる」ということの本質は、ひとつには、差異です。わたしとあなたの記憶に差異があるということ。わたしの記憶と残された記録に差異があるということ。そういう食い違いのことを「忘れる」と言います。わたしは覚えているのに、あなたは忘れてしまったの?こんなひといたっけ、名簿には載ってるけど、わたし全然覚えてないよ。差異。ズレ。食い違い。何かと何かを比較しないと、「忘れているかどうか」はわからない。

それからもうひとつ、因果関係の喪失、ってのもありますな。目覚めたら見知らぬ女の子が自分のベッドで寝ている、目覚めたら部屋の真ん中で道路工事のごめんなさい看板が頭を下げている、食べた覚えのないコンビニ弁当やカップラーメンの残骸がテーブルに並んでいる。そんなふうに結果だけがデデーンと提示されていて、結果がある以上そこには原因があるはずだと推論されるのに、原因に心当たりがない。この娘は誰?この看板は誰が持ってきたの?この弁当は俺が食べたの?このパターンは先ほどとは違って、誰かと照らし合わせたりしなくても「忘れている」ことがはっきりとしている、と言えるかというと、実はそうでもない。だってさ、「そもそも知らない」のかもしれないじゃない。女の娘は俺が寝てるスキに忍びこんできたくのいちかもしれないし、工事の看板は俺が寝てるスキに業者が持ち込んだのかもしれない。コンビニ弁当はその業者さんが食べたのかもしれない。俺はただ何も知らずスヤスヤと寝ていただけ。そういう可能性だってあるのだ。業者さんに俺の寝顔みられちゃったのかな、恥ずかしいなあ。

えーと、本格的になんの話だっけ。俺やっぱまだ酔ってんのかな。さっきから話の見失い方がすごい。球筋を追えてない。ファールボールにご注意ください、打球の行方にご注意ください。そんなふうに言われてもそもそも打球が見えないひとはどうしたらいいの?と思う。フライの落下点にうまく入れないような人種に無茶な要求をしないでほしい。おまけにお酒も飲んでるんだし。球場で飲むビールは美味しいよね。僕は野球ファンではないけれど、それでも夏の神宮球場はビアガーデンとして最高だと思う。飲み放題エリアとか作ればいいのに。5000円で試合終了までビール飲み放題。売れると思うんだけどな。少なくとも俺はいく。食べ物もだいぶ買ってしまうと思う。野球場にはそういう魔力がある。

観光地にはメフィストフェレスがいる、というのが俺の持論で、メフィストフェレスといえばひとを堕落させることを生きがいにしている悪魔なわけですが、観光地ってついついお財布のヒモが緩んじゃうじゃないですか。せっかくだし、って魔法の言葉ですべての理性を帳消しにして、高い食べ物にバシバシ札束攻勢をかけていくじゃないですか。バブル時代の、アメリカの土地を買い漁る日本人のように、ご当地グルメを買い漁るじゃないですか。Oh、エコノミックアニマル。ウニ丼2000円!安い!って言うけどさあ、築地でも2500円出せば食べれるよ、交通費考えたら築地のほうがむしろ安いよ。そういう理性的なことを言うやつのことが俺は大嫌いなのですが、みなさんはどうですか。

もっと積極的に堕落していきたい。堕落して堕天して駄目になっていきたい。低きに流れたい。流れを止めない水のように。転がり続ける石のように。ライク・ア・ローリング・ストーン。イエー。

 

ねえこれいったい何の話。

なんだろまだ酔ってんのかな。