bronson69の日記

いつか読み返して楽しむための文章。

旅の恥は

朝。キンキンに冷えた部屋のベッドで布団にくるまって目を覚ますかもっと眠るか決めあぐねているあの瞬間は、寝てるのか起きてるのかどっちなんだろう。平日の起きるべき日には寝ていたくなり、休日にはまあ別に眠くなったらまた寝れるしな、つってサクッと起きるのが俺のいつものパターン。きょうは日曜なので自衛隊員くらいキビキビと起きて、トイレに行き、手を洗い、そのままキッチンでカレーを作る。なんか寝起きドッキリみたいだな。早朝カレーだ。ここんとこ外食が多くてカレー作ってなかったから久しぶり。冷蔵庫にはいつもの玉ねぎとトマトとヨーグルト、それに鶏肉。あとゲストみたいに茄子とゴーヤ。う〜ん夏だしゴーヤ行ってみっか!とゴーヤを縦に割る。種とワタをとり、薄くスライスし、塩でもんでザルに放置。居室に戻ってきょう初めて時計を見る。六時半。早くも遅くもない感じ?二度寝するのはなんか違うなーと思ってベッドではなくソファに横んなって本を読む。新しい本は積んであるけど、それより古い本を読み直したくなって、最近何度めかの「みんな元気」を読む。うーむ、ポップなのにわかりにくい。悪い意味で舞城王太郎っぽい。あんまりいい出来じゃない、読むたびにそう思うのだけれど、でもこの話のテーマみたいなものが俺はとてもとても好きで、結果あんまり上手く書けなかったってところまで込みでチャームポイントにしか見えなくて、要するに大好きな話なのだ。お話を頭から終わりまでたっぷり味わって時計見ると七時すぎ。ゴーヤの苦味もどっかいった頃合い。キッチン戻って塩もみ&放置したゴーヤを水洗い。そこからはいつものルーティン。玉ねぎ刻んでトマト刻んで、油にホールスパイスの香りをうつして玉ねぎ炒める。ここでゴーヤも投入。ほんのり飴色玉ねぎになるまで炒めていく。ゴーヤは飴色にはならんけど、かなり縮む。ニンニクと生姜、トマト入れて水分トバして、チキンとパウダースパイス、ヨーグルト少しと水、あとは好みの濃さまで煮詰めていく。ここまでだいたい三十分。キッチンは灼熱で俺は汗だく。Tシャツ脱ぎ捨ててシャワー浴びて、いい感じに煮詰まったカレーをよそっていただきます。

 

うわーゴーヤ強い。超苦い。

 

ゴーヤをカレーに入れるなら、素揚げするか、そもそも水分いれないサブジみたいのにするか、どっちかだね。煮込んじゃったら全体的に苦くなってしまった。苦くて笑う。苦笑いだ。超苦いしだいぶ辛いからお子様向けではないけれど、俺はおっさんなので臆せず食べる。苦いってだけでマズいわけじゃないし、なにより生産者責任だもんな。よいおっさんは責任を取るのだ。

 

カレー食べて満腹になったのでそのまま床に転がる。ゴロ寝きもちいー。位置的にエアコンの風をモロに食らうベッドと違って、床ではそれがない。ソファほど狭くもないし、この夏のNo.1ゴロ寝スポットは床で決まりだ。そのうちブランチあたりで取り上げられるだろう。そしたら混んじゃうのかな、ウチの床。知らない人で足の踏み場もない床。最悪じゃん。でもいまはまだ穴場スポットだから俺しかいない。いまのうちにこの行幸を味わおう、というわけで横になってたら、いつの間にか眠っていた。

 

夢を見た。ソイヤソイヤ、ソイヤソイヤ、掛け声が聞こえる。掛け声は最初小さく、だんだんだんだん大きくなる。近づいてくる。ソイヤソイヤがひときわ大きくなり、そこから徐々に小さくなっていく。遠ざかっていく。音だけかい、なんだこの発展のない夢は、と目を覚ますとソイヤソイヤはまだ聞こえている。夢じゃないんか、とベランダに出る。太陽は直上、マンションの前のアスファルトには陽炎が揺らめき、その上を年齢層の高い担ぎ手たちが神輿を揺らして通り過ぎていく。担当者が両サイドからバケツで水をブッかける。担ぎ手はビショ濡れ。あの水はどこから…と観察すると、神輿の少し後ろに台車がおり、台車にはゴミだしにつかうポリバケツが乗り、そこから水を調達していた。あれだけで水足りるんか?と眺めていたら、更に後方から代わりの台車&ポリバケツがダッシュでやってきた。あの仕事きつそーだなー、誰かあの人に水ブッかけてあげなよ、ついでに俺にもブッかけてくれ脳天が焼かれとる、そんなことを思いながら過ぎて行く神輿と台車の後ろ姿を見ていた。流れる景色を必ず毎晩見ていた。

 

起きてしまったどうしよう、とりあえず飲むか、ツマミはどうすっかな、スーパーのでいいからオードブルみたいの揃えて冷やしたスパークリングワインでも飲もうかな、そう思いながら家を出て、刺し身と塩辛とビールを買って帰ってきたのが二時くらい。だからいまいい具合に酔ってる。酔ってるとしょうもないことを書きなぐりたくなるので、これを書いている。きょう起きてからここまでを写実的に書いている。だからこれは完全に書くための文章。書いたそばから目的を達成して不要になる類いの文章。旅の恥みたいなもん。書き捨て。ダジャレか。

 

ふふふ。ふふふ。楽しいなあ。