二つの願い
雨が止みますように、電話が来ますように
二つの願いは必ず一つしか叶わない
こう歌ったのは槇原敬之だった。
きょうの俺にも二つの願いがあって、それは夏酒が飲めますように、舞城王太郎の過去作を読めますように、だったんだけど、職場の飲み会を終えて帰宅したいま現在、どちらも叶えられてない。
必ず一つしか叶わないってことと必ず一つは叶うってこととはイコールなのだろうか。「一つしか叶わない」に「一つも叶わない」は含まれるのだろうか。よくわからない。含まれるような気もするし、含まれないような気もする。
二つが両方とも叶うことはないのだ、ということはわかる。それだけはわかる。
だから選ばなくてはいけない。
夏酒。舞城。
どちらにするか。
夏酒を飲むなら、このまま家を出て、ありそうな飲み屋に行けばいい。
舞城を読むなら、本屋は流石に閉まってるから、手持ちの中から「好き好き大好き超愛してる」でも読もうかな。
ほんとは「熊の場所」か「みんな元気」が読みたかったのだけど、無理なものは仕方ない。
その気になればどちらも叶えられる。
本を鞄に入れて飲み屋に行けばそれでいい。
それはわかってる。
わかってるけど、なんとなくそれはやりたくない。
二つの願いは必ず一つしか叶わない、ってのがなんか好きなのだ。
そのほうが、なんかフェアな気がする。
心底どうでもいい願いごとだけど、ぶっちゃけどっちも諦めてさっさと寝たっていいのだけれど、でもなんとなく、なんとなく、一つは叶えておきたいのだ。
そのほうが正しいと感じるのだ。
この話を人生論みたいに広げてくのもできなかないけど、しょぼくれたしょうもない竜頭蛇尾な感じの話にしておくほうが好みなので、最後まで小さいスケールで悩み続けてこの話は終わる。
どうしようかな。
悩むな。