bronson69の日記

いつか読み返して楽しむための文章。

幸せであるように

三時間しか寝てないのに、喉が渇いて目が覚めてしまった。そのまま寝付けなくなって朝を迎えた。ひどく身体が重たい。

ベッドの上でスマホの画面を眺めていたら、女子会帰りにバイクのシートに放火した31歳女性を逮捕、ってニュースが目に入った。上手くいかない恋愛を思い出して、イライラして放火を繰り返していたらしい。

放火はもちろんやっちゃいけないことだけど、でも、分かるよ、と言いたくなる。放火みたいなこと、めちゃくちゃな憂さ晴らし、自殺の代わりになるような、そんなことでもしないと乗り越えられないんじゃないか、そんなふうに思う夜は俺にもあったし、俺だけじゃなく誰にでもきっとあったでしょう。もちろん、放火なんて普通はやらない。でも、やるかやらないかは紙一重だ。そういう気分のとき、ふっとそういう風が吹けば、俺だって取り返しの付かない何かをやってしまっていたかもしれない。あちら側とこちら側、やってしまったひとと想像だけで留めたひと、そのふたつを隔てる壁は、風に揺れるレースのカーテンくらい薄い。

なんていうか、幸せになれるといいね、と思った。罪はもちろん罪なので、ルール通りにきっちり裁かれればいい。償いにはルールがないから難しいけれど、これから生きることと償うことはほぼイコールになるだろうから、そんなふうな世界の中で生きて、償っていくしかない。ハードモードな人生だろうけれど、それは引き受けるほか仕方がない。やってしまっても人生はそう簡単に終わってくれない。夜は開けるし朝はくる。不覚にも人生は続いてしまう。

きっとまた誰かを好きになるし、好きになられたりもするだろう。過去のことが邪魔をして、上手くいかないこともあるだろう。もしかしたら誰も好きにならないかもしれない。でもそれだっていいと思う。誰も好きにならなくても、恋がうまく行かなくても。よくできた小説のような、人間くさくてたまらない人生が送れれば、それでいいじゃないかと思う。いつか、もっともっと歳をとってから、来し方を振り返ったとき、ああ、わたしは人間らしく生きてきたな、デタラメなこともあったけれど、わたしはわたしの人生を生きてきたな、そんなふうに思えればそれでいい。過ちは、きっといつか、味わいに変わる。

俺がこんなところに何を書いても、彼女に届くことはないんだろう。それでも、何か少し、バタフライ・エフェクトのようなほんの少しの波紋でいいから、彼女に何かが届いたらいい。そうであれば俺はとても嬉しい。