bronson69の日記

いつか読み返して楽しむための文章。

朝だからって勝手にしゃんとしてんじゃねえよ

ここ二月くらい、休みの前の日にアルコールを入れたが最後、朝を迎えないと気が済まない体質になっている。きょうもなぜか花園神社で初対面のひとふたりとビールを飲みながら朝を迎えた。

深夜の花園神社には、酔っぱらいと寝てるひとと通行人しかいなかった。通行人は何故かみんな何かしらの個性が強かった。服装だったり、筋肉だったり、発している音声だったり。酔っぱらいの我々は本殿の前の石段に座りながら、バンドマンと非バンドマンの境目の話(バンドやってるか否かとはまた別なんすよたぶん)とか、過去に取り憑かれたなかで一番ひどいセックス・ファンタジーについての話とか、そういう毒にも薬にもならない話をしてグダグダと夜を過ごした。

夜明けがせまり、空が白んでくるのとともに、酔っぱらい、寝てるひと、通行人の個性、すべてが失われていった。4時をすぎると境内に残っているのは我々と狛犬だけになっていた。空に紫がかった雲がたなびき、雀の鳴き声が朝を連れてきて、そうするとさっきまであれだけグダグダだった神社もちゃんと厳かな感じに見え、なんだよグダグダなのは俺だけかよ、朝だからって勝手にしゃんとしてんじゃねえよ、みたいな気持ちで寂しくなった。まったくなあ、新宿みんな、夜のうちはあれだけだらしなかったのになあ。朝だからって勝手にしゃんとしてんじゃねえよ。


きのうはトークイベントというやつに初めて参加した。話を聞きながらいろいろと考えた。いろいろの中身はここには書かないけれど、簡単に言うと、俺はいま愛のことにしか興味がないんだな、という感じ。昔のCMじゃないけどさ、愛だろ、愛、って思うよ。モテよりも、セックスよりも、愛がいいよ。愛だけがあればそれでいいんだ。ほんとに。

愛したい。理屈がブッ壊れて理性が崩壊して「理」って漢字が書けなくなるくらい愛したい。恋に落ちたい。稲妻に撃たれたい。落とす方法なんてどうでもいい、落ちる方法が知りたい。

マグノリア」って俺の大好きな傑作映画がある。ウィリアム・H・メイシー扮するドニーという男、かつての天才クイズ少年の慣れの果て、いまやただの醜くて無能なゲイ、彼は若く美しい男に恋をして、身の丈に合わないお金を注ぎこんで彼と同じように歯の矯正をする。

映画のクライマックスのひとつのシーン。
ドニーは泣きながら言う。
「この胸には愛が溢れている、愛が溢れているのに、はけ口が見つからないんだ」

わかるよドニー。
俺も同じなんだよ。