bronson69の日記

いつか読み返して楽しむための文章。

エモさのある日曜日

金曜日に朝まで飲んでいたので、土曜日は一日ダメになっていた。タコとか泥とかねるねるねるねとか、ベッドの上でなんかそんなような不定形なものになっていたら土曜日は終わった。

ダメになっていても時間は経つし予定はくる、土曜の深夜から「平野勝之オールナイト」@ロフトプラスワン
「アンチセックスフレンド募集ビデオ」「わくわく不倫講座」「プライバシーゼロ」の三作をオールナイトで上映、それにカンパニー松尾監督、平野勝之監督、柳下毅一郎さんの三人のトーク付き。「プライバシーゼロ」以外の2つは初見。

題材がどんなものであれ、平野監督の作品を見ると、ああ、映画だ、と思う。編集の感じ、劇伴の入れ方、画角と絵作り。
映像制作のイロハをどこで叩き込まれたか、によって監督の作風は変わってくるんだな、と思う。カン松さんはやっぱりMTVっぽさを感じるし、平野さんは映画だし。AV畑のひとはやっぱり、狭いスタジオで女優のカラミを捉える、AV独特の撮影スタイルが染みついてる感じがする。

特に「わくわく不倫講座」は完全に映画だった。愛の映画。婚約者の「代わり」として実家に連れていかれたAV女優の志方まみ。彼女と不倫し、彼女にハマり、彼女にふられ、取り戻そうとあがく監督。取り戻せず、連絡もつかなくなり、女装させた仲間の男優を志方まみの「代わり」として、悲恋の物語を紡いでいく。感動的な傑作なのだけれど、僕にはずっと、奥さんへの愛を綴った映画に見えた。画面の中で愛されるすべての女性はみんな「代わり」にしか過ぎなくて、ほんとうに愛しているのは、ほんとうに見つめているのは、奥さんひとりなんじゃないか。監督は「発注元へのサービスだとして、普通にエロい場面を入れたかった」と言っていたけど、ラスト、出勤前の奥様との手短なセックス、あの部屋に満ちていた気だるくて優しい空気、カチコチとなる壁掛け時計、生活。あれが「愛」じゃなかったら何だって言うんだ。フィクションかドキュメントかという垣根も監督の意図すら超えて、画面には図らずも「愛」が映ってしまった、そういう映画だと思った。

六時半までオールナイトを完走し、外に出ると雨だった。友達と三人で、珈琲でも飲んで帰ろか、と喫茶店を探し、見つからず、結局蕎麦屋へ。天ぷらそばを食べ終わり、ふと気がつくとカウンターには無数のビアジョッキが並んでいた。酒のツマミはお互いの人生。
「ねえねえ、しってる?しょっけんきにこいんをいれるとむげんにびーるがでてくるよ」
「わあ、ほんとだ」
「すごい」
などのウィットと知性、ユーモアとエモさに富んだ会話を六時間続けた結果、約一名の人生の決定を後押しすることに成功。実りのある時間だった。あれは良さだった。学びだった。

別れてから紀伊国屋でカレーを食べる。それから「コーヒー おいしさの方程式」とミランダ・ジュライの「あなたを選んでくれるもの」を購入。帰宅すると昼過ぎ。そこから爆睡して、起きたら夕方、というか夜。「Wの悲劇」を見てひとりエモさを高めていたら、友達からさらにエモい連絡があり、極限までエモさが高まっているのがいまの俺です。いまの俺なら全盛期のWeezerに勝てる。リヴァース・クォモを片手でひねる。でもほんとは他人ごとじゃなくて自分ごとでエモくなりたい。なりたいぜ。

今週末もあっという間に終わりました。あっという間だけどやたら長い時間だったようにも感じます。なんでなんでしょうね、飲んで記憶失ってる間になにかとんでもない事が起きてたりするんですかね。お前は覚えてないかもしれないけどあのあと大変だったんだぞ、ドラえもん映画でいうと魔界大冒険くらいのことがあったんだぞ、地球の進化の歴史が始まって終わるくらいのことがあったんだぞ、みたいな感じだと納得感があります。というかそうであってほしい。ここ最近、先週飲んだばっかのひとに「お久しぶりです」とか声かける事案が頻発してるから、それは仕方のないことなのだと自分を納得させたい。させたいです。

週末も終わりました。今週も楽しかった。
遊んでくれたひと、ありがとう。
遊べなかったひと、ごめんなさい、また今度、ぜひ。
明日から平日、しんどいときは手の甲を3回叩いて「女優女優女優!」と唱えれば気合が入る。
お互いがんばっていきましょう。
ハッピーでエモくてラブい人生のために。