bronson69の日記

いつか読み返して楽しむための文章。

モッシュピット

土曜日。
モッシュピット」@ユーロスペース。初日。

11月18日、この日のフリーパーティのことを知ったのは、事後のことだった。宗像さんの書いた記事を読んで、あ、逃したな、と思った。音楽の現場に通ったことのある人ならみんな、何十回に一度、奇跡のような夜があることを知っている。全てが揃った、完璧にピタッとハマった、そんな夜があることを知っている。記事を読んですぐ、奇跡の夜があったのだと分かった。悔しかった。名前を聞いたこともない三組のアーティスト、Have a nice day!、NDG、おやすみホログラム、YouTubeで彼らの曲をチェックして、そんときはそこまで良いとは思えなくて、でもライブの場にいたらきっと泣いてたんだろうな、そういう場だったんだろうな、別の機会に観れても駄目なんだろうな、そんなことを思ってた。

その夜のことが映画になる、そう聴いたのはいつ頃のことだったろう。ハマジム音楽映画祭のころだから、まだ年が明けていくらも経たないくらいだったか。映画というのはピッタリのメディアだな、と思った。恐らく再現性のない、奇跡みたいな一夜のパーティ。その空気を缶詰にして、標本にして、フィルムにディスクに焼きつけて、スクリーンにデカデカと映し出す。爆音で音を鳴らす。それを観たからって俺は彼らのライブには行かないだろうし、行ったって映画以上のものは観られないだろう。でも映画館では泣くんだろうな。そんな風に思っていた。

俺は映画を見ても泣かなかった。言いたいことは正直たくさんある。けれど殆どは言う必要がない。大切なこと、どうしても言いたいことが二つだけある。だからそれだけ書いて感想の代わりにする。

ひとつは、ハバナイ!の鳴らす音、浅見北斗の呟く言葉、揺らす身体、その強度は想像を遥かに超えて、俺を軽く吹っ飛ばしていった、ということ。

もうひとつは、5月25日水曜日、ド平日のハバナイ!のワンマンパーティ、映画観るまでは行けたら行こうかな、くらいにしか思ってなかったこのパーティに、死んでも行こうと思ってるってこと。

なんかね、もう一度あるんじゃないかって思っちゃったんだよ、全部が完璧に揃った、奇跡みたいな夜がさ。スコンと吹っ飛ばされたいんだよ、尖った顔した、筋肉質の、ロマンティックな革命家に。

ブラッドオンモッシュピット。
キルミーダンスフロア。
ぶち壊してよこの素晴らしき世界を。