bronson69の日記

いつか読み返して楽しむための文章。

春咲小紅

物は考えようだとは思わないか。
俺は暑がりで汗っかきで肌が弱くて、だから夏が大嫌いだ。
けれど東北生まれで寒さには強いから、冬は大大大好きだ。
三月過ぎて、楽しい冬の寒さが弱まり、だんだん気温が上がってくると、舌打ちを禁じ得ない。
夏が来る。
きっと夏は来る。
頑張ってるんだからきっと来る。
だんだん暖かくなってきちゃうよ、このままじゃ夏が来ちゃうよ、きっと来ちゃうよ、こんな吐きそうなことってある?
だから俺は四月が大嫌いだ。

一方、俺は行事大好きっ子である。
松岡きっこ大好きっ子である。
大晦日には蕎麦を食い、年明けにはおせちを食べ、節分には豆をまく。
中秋の名月には団子を食べる。
ステテコランニングでうちわ扇ぎながらテレビで高校野球を見る。
片膝立てて、瓶ビールを飲みながら。
つまみはそやな、パックの寿司か餃子かな。
そんな風に、その季節ならではのコスプレをして楽しむのが、俺は好きだ。

話を戻して四月である。
四月。
桜。
満開の下には死体と鬼婆。
そこに混じって酒を飲む。
江戸時代からの正しい風習、お花見である。

お花見、大好きなんだ。
桜、大好きなんだ。
満開の桜は言うに及ばず、終わりかけの花びらが舞い散る様もよい。
すっかり花が散った葉桜の、四月の明るい緑もいいし、生命力に溢れた、五月の濃い緑もいい。
五月の桜の葉より瑞々しい緑を俺は知らない。

「いま」だけを切り取れば、先のことを考えなければ、四月って最高の季節だ。
明日か明後日あたり、東京の桜は満開になるかな。
週末は晴れるかな。

ホラ春先小紅 ミニミニ見に来てね
わたしのココロ ふわふわ舞い上がる
ホラ春先小紅 ミニミニ見に来てね
わたしのココロ ひらひら踊ってる

こんな気持ちで、かるーい気持ちで、軽く、軽く、軽く、うわっついて。

明日のことだけ楽しみに。

こんな感じで、過ごせっといーな。