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bronson69の日記

いつか読み返して楽しむための文章。

博士の異常な愛情、またはなぜ白鵬はブーイングされなければいけなかったのか

街は桜と白鵬の話で持ちきりである。
赤霧島でも飲みながら、俺もつれつれと書いてみる。

なんで白鵬がブーイングされたのか。
簡単に言えば、客の期待を裏切ったからである。
「暗黙のルールを破ったから」ではない。
背いたのは不文律ではない。
千秋楽の結びの一番、堂々とした横綱相撲を見せてほしいという、客の期待だ。

ボクシングやK-1で考えるとわかりやすい。
客は派手なKOを期待している。
武蔵みたいな、判定狙いのヒットアンドアウェイは期待していない。
判定狙いは別に反則ではない。
でも、大半の客にはつまらなく映る。
熟練のディフェンス技術を楽しめるのは、後楽園ホールの常連客だけだ。
ミルコ・クロコップのハイキックを楽しみに大枚叩いた客は、武蔵の判定狙いを許さないよ。

結局のところ、客はお目当てのものが、お約束が見たいのだ。
水戸泉のソルトシェイカーっぷりを、高見盛ロボコップっぷりを、小錦の巨体を、舞の海の八艘飛びを。
彼らが横綱になったとして、お約束ムーヴを封印したら、客はむしろがっかりするだろう。
白鵬だったら、どっしりとした、本格派の強さ。
相手の当たりをガッチリ受け止め、山が動いているような重厚さで、盤石の体勢で勝つ、そんな姿が見たいのだ。

どんな勝ちでも、勝ちは勝ちだ。
でも、客は必ずしも勝者を讃えなければいけないわけじゃない。
客は好きな力士を応援してよいのだ。
客はコンクールを見に来てるのではない、格闘技の興行を見に来ているのだ。

「正々堂々ストレートで勝負せんかい!」と叫ぶバッターを応援したってよいのだ。
むしろこんな無茶苦茶を言っても客席を納得させるバッターなんて、とんでもないスターだよそれは。

興行と競技。
すべてのプロスポーツは、その両面を抱えている。
スターと呼ばれる選手は、2つを両立することができる。
全盛期の辰吉丈一郎みたいに。

相撲を競技として見る人は白鵬を擁護する。
興行として見る人は白鵬を叩く。
で、現場の客は大半が興行を見に行ってる。
だから、白鵬は叩かれたのだ。