落語会の帰りに

フローリングの部屋ってさ、なんであんなすぐ汚れんだろね、俺すげーこまめに掃除機かけてんのにさ。

あーね、髪の毛とかなんであんなすぐ落ちるんだろね。

そうなんすよ、毛とかももちろんそうなんだけど、ホコリがほんとすぐたまるんだよね、部屋の隅とかベッドの下とかさ。そういうとこまで、毎回きちんと掃除機かけてんのに。

それあるわ！あれほんとなんなんだろな！

…っていう会話をこないだもしたじゃん。

え？したっけ？

したよ、ほら、「きょうは30分だけ」つってほんとに30分だけ飲んだ日にさ。

ああ、したね。どーりでなんか違和感あるなと思った。

でしょ？こないだもしたのよ、この話。でさ、ホコリなんだけどさ、俺こないだ、初めて浴室乾燥機を使ったのよ。

おお！あれ便利なんでしょ？使ったことないけど。

いや便利だよ、雨続きだっていうから使ったんだけどさ、夜洗濯して風呂場に干して朝には乾いてっかんね。でさあ、朝に洗濯モンとりこんで、仕事行って、帰ってきて、風呂はいるじゃん。

うん。

そしたらよ。ホコリすげーの！なんつーの、細かい繊維みたいなさ、コイツラが合体して綿ぼこりになんだろなみたいなやつがさ、風呂場の床にも壁にもいっぱいついてんの！

あーね！そうね！うちも洗濯乾燥機つかうとホコリすごいわ！

いやその乾燥機はグルングルン回るやつでしょ？それで布地の繊維が切れてホコリでるのはさ、納得感あるじゃん。でも浴室乾燥機って、ただハンガーにかけて干しとくだけじゃん。それなのにあんなにホコリ出るの、えーっ！てなるじゃん。

あーそうか。

風呂場ってさあ、毛とかはそりゃ落ちるけど、ホコリってたまんないじゃん。それが洗濯物干しとくだけであんなにホコリ出るってことはさあ、布地ってやつは、置いとくだけでホコリを発生させるんだな、ってのが腹でわかる感じがしてさあ、そりゃーリビングだってホコリ溜まるわな！ってすげー思った。

ああ。そーね。でもさあ、それさあ。

ん？

そのうちさあ、「置いとくだけなら絶対に繊維が切れない、ホコリの出ない布地」みたいなやつ、開発されんじゃねえ？絶対にニーズあるっしょ。

ありそう！できそう！そういうのあるとしたらさあ、副作用は何になんのかな、通気性とか犠牲になんのかな。

そこはたぶん、シンプルに、価格。

価格！めちゃ高いのか！

あ、いま気づいたんだけどさあ…たぶんあれだよね、クリーンルームで働く人が着てるやつとか、既にそうだよね。

あ、そうね。でもあれってさあ…布？たぶん塩ビとか、そういう素材じゃね？

あれだ、業務用だから、布である必要ないから、あれだと安いんだよ、布じゃないから。

布であることにこだわったら、やっぱ高くなんのかな…どうやったら布でできんのかな？

布でなんとかしようとしたらさあ、もう布をゴムとかでコーティングするしかないよね。

わかった！マッキントッシュのレインコート！あのゴムびきの、やたらと高いやつ！あれだ！あー、だからあのレインコートあんな高いんだー！

こんな会話をしながら、代々木から新宿三丁目まで歩いて飲み屋に行った、そんな土曜日。

落語会もとても笑えてとても素敵で、それはそれはよい一日でしたとさ。