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bronson69の日記

いつか読み返して楽しむための文章。

恋人たち

仕事をさくっと切り上げて、テアトル新宿橋口亮輔監督「恋人たち」を見る。
すごくすごく繊細な映画だった。
傷ついて、痛みを抱えたひとたちが、痛みを抱えたまま、なんとなく生きていってしまう、そうやって生きていってしまっていることこそが救いなんだよ、そう語りかけてくる映画。

しんどくて辛くて悲しくて頭おかしくなりそうで、殺してやりたかったり死にたかったりするけど、殺したり死んだりするのもできなくて、ズルズルと生きていってしまううち、そんなこと望んでいないのに少しずつ癒やされていってしまう。
喪失感に苛まれてるときって、元気になんかなりたくないんだよね。
失ったものを取り戻すこと、それ以外には何も望まない。
取り戻さない限り、立ち直ったりできるはずがないとしか思えない。
でも実際は、飯を食って仕事をして毎日を送るうち、立ち直ってしまう。
そういう過程を丁寧に、嘘くさくなく描いていた。

パンフレットも素晴らしい、ただし吉田修一、あんたはダメだ。
この映画のどこが「愛情抜きのセックスについての映画」なんだよ。
セックスの身体性を何かすごい価値のあるモノみたいに捉えるのいい加減やめたらいいのに、80年代の村上龍じゃあるまいし。

本当にいい映画だった。
見たひととゆっくり語り合いたくなるような。
映画館にバーカウンターとかありゃいいのになー。

本当にすごい映画を見たときはいつも、感想を言葉にすることがうまくできない。
言葉にできないと、なんだか嬉しくなる。
ああ、言葉では表せないもの、映画でしか表せないものを見たんだなあ、と思う。
恋人たちは、そういう映画だった。
映画館で見れて本当によかった。

天気予報は外れて、東京に雪は振らなさそう。
大雪になってほしかったな。
街の人も少なくなって、普段予約のとりにくいお店だって飛び込みで入れるし。

明日はひさしぶりの落語会。
楽しみだなあ。