bronson69の日記

いつか読み返して楽しむための文章。

気の利いたポップ・ソング

 気の利いたポップ・ソング作ろう
 女の子のためのお仕事しよう
 気の利いたポップ・ソング作るよ
 君だけのために歌うよ
 ポップで、キッチュで、フレンチで
 キュートで、シュールで、スウィートで
 誰もが誰かに恋するポップソング
 (カジヒデキ:ポップソングをつくろう)

引っ越してから、何年ぶりかで音楽にハマっている。
週に三回、新宿ツタヤまでテクテク歩く。
アルバムをサイコロ借り(タテヨコが同じになるまで借りる)する。
帰りがけにアルコールを買って、飲みながらパソコンに取り込む。
携帯に音楽を入れて、両耳にイヤホンを、ポケットに両手を突っ込んで、つま先を蹴り上げて街を歩く。
新宿、四ッ谷、六本木、赤坂。
今さら気がついたのだけれど、東京の街には、音楽がよく似合う。

若いころは、ダンスミュージックが好きだった。
いま好きなのは、気の利いたポップ・ソング。
暗闇が似合う音楽、野外が似合う音楽、いろんな音楽があるけれど、昼間の街にぴったりくるのは、ポップ・ソングだ。

ポップ・ソングは、ちゃんとしている。
だらしないポップ・ソングなんて有り得ない。
襟のついた服を着て、汚れのないスニーカーをはいている。
きちんとお洒落をしている。
ポップ・ソングは、駄目であることを許容しない。
そこがロックンロールやダンスミュージックと違うところだ。
ポップ・ソングにはまっとうな美意識がある。

たぶん、僕は駄目でいることに飽きたのだ。
これまでの人生、ずーっと駄目でいたから。
駄目でいたくて、わざと駄目なように振る舞っていたから。
きちんとした、襟の立ったシャツを着て、まっ白に磨かれたスニーカーをはきたいのだ。
地べたにものを置かずに、週に二度、掃除機をかけ、毎日の食事を作って暮らしたいのだ。
女の子にどう思われるか気にして、きれいな女の子と連れ立って歩いても恥ずかしくないような自分でありたいのだ。

気の利いたポップ・ソングを聞きながら、気の利いた生活をてくてくと暮らしていきたい。
今年もありがとう、来年もよろしく。
よろしく、よろしく、よろしく。
みなさん、良いお都市を。