bronson69の日記

いつか読み返して楽しむための文章。

新生活

土曜日に引っ越しをした。

朝イチで新しい部屋に荷物をいれた。
それから通販で買ったカーテンやら洗濯機やら物干し竿やら無線LANルーターやらなんやらかんやらがドサドサ届いて、昨日まですっからかんだった部屋がなんかもうてんやわんやになった。

ただ想定外だったのは新居が広かったこと。
段ボールを何個運ぼうが余裕しゃくしゃく。
床も壁も新築みたいにピカピカで、トイレもキッチンも広くてきれい。
新宿区で駅チカでこれはなかなかのお得物件だったなあ、と改めてホクホク。

主観的にはセッセセッセと、客観的にはノタクタと、ダンボールを開けていく。
洋服は衣装ケースにいれてクローゼットへ。
ジャケットやコートはハンガーにかけて同じくクローゼット。
だいぶ減らしたキャンプ道具もクローゼットへ。
洋服なんて持ってないよと思ってたけど、箱詰めしてみると衣装ケースにたっぷり5つ。
大半は古い服なのだけれど、捨てられない物が多い。
学生時代にロックフェスで来てた服とか。
捨てられないんだよね。

広いクローゼットもあっという間にいっぱいになり、それでもまだ10箱は段ボールが残ってる。
中身は雑貨と雑誌と本とCD、DVD。
あと雑誌と漫画。
新しい部屋には荷物をおかず、おしゃれな部屋にと思ってたけど、それってこの本みんな捨てなきゃ無理だよな。

五秒なやんで断捨離を諦め、ニトリのサイトからカラーボックスをバンバン注文。
岡崎京子大島弓子、捨てるなんて出来ないって。
あと90年代後半のロッキンオンジャパン
いま読むといーんだよ、熱くて青臭くて。

現段階でやれるだけのことはやって、ホコリと汗にまみれた自分を洗いに風呂へ。
この部屋での一番風呂!
築浅だけあってお湯がすぐ出るし勢いもいい。
浴槽は狭いけどそこは自分が痩せればいい。
熱い湯を頭から浴びる。
極楽極楽、とここで気づいた。
石鹸もシャンプーも、湯桶もアカスリも何もねえや。はあ。

仕方ないから湯シャンで済ませて風呂を出る。
ドライヤーもないので濡れたまんまで買い出しに。
寝間着にダウン、オンボロのチャリンコとばして最寄りの百均へ。
季節は年の瀬12月。
洗い髪が芯まで冷える。
グーグルマップが指し示す最寄りの百均、そこは新宿三丁目、マルイアネックスの三階にあった。
俺は百均に雑貨を買いに来ただけなのに、なんでカップルひしめく百貨店に来てるのか。
生活圏と大都会がごちゃごちゃになる違和感。
おもしれー。

100円ショップで3000円、ドラッグストアで5000円。
それからビックカメラで7000円。
ドライヤーに延長コード、シャンプー石鹸歯ブラシトイペ、箸にトレイにS字フック。
生きていくってモノがいる。
生きていくってお金がかかる。
仕事があってよかった、生活必需品を買うのに悩まなくていいくらいには稼げててよかった。

家に帰る。
不在票が入ってる。
電話すると目の前なのですぐ行きます、とのお返事。
注文してたラグが届いた。
目の覚めるように鮮やかな、でも落ち着いた、すんばらしいブルー。
安安に安かったんだけどね。
ただなー、こんなに広い部屋と思ってなくて、ちょっとラグが小さい。
床が見えすぎている。
カラーボックスだけじゃ埋まらないなあ、ということでソファをポチる。
40000円。
テーブルはヤフオクの中古でいいや、3000円。

疲れたところでご近所さんになった友達に電話。
おつかれー。
うん、なんとか落ち着いたー。
あ、冷蔵庫ありがとね、マジ助かったわ。
引っ越し金かかってさー、計算したら65万とかいってるよ?
もちろん初期費用込だけどさ。
今日ヒマ?
引っ越し蕎麦でも行こうぜ、冷蔵庫のお礼におごるよ、蕎麦っていうか寿司食おう寿司。
じゃあ8時な、ウチの下きたら呼んでー。

ほんで寿司食って酒飲んで友達んちでワイン開けていつの間にか自分ちで寝てた。

引っ越し、楽しいよ。
目まぐるしくて、目新しくて、楽しい。
ジェットコースターみたいでさ、考える隙がないのがいい。
なんつーの、忙しいシムシティみたいなさ。
出来上がってくときって、ほんと楽しいよね。

でもさ、あと一週間もして、部屋も片付け終わって、買う物も金もなくなって、酒飲むのにも飽きて。

そしたら、どうなんのかな。

ただいまー、つって声だしても家が氷河期みたいに静かなのとか。
静寂に耐えられなくてでもつまんねーTVつけとくのもきつくて、もう何十回も見た水どうまた再生してユーコン下るのぼやーっと見てんのとか。
閉店間際のヨーカドーで半額の食材を買ったはいいけどついつい一人じゃ食えない量買ってきて食いながらしょんぼりすんのとか。

これ、みんなほんとに耐えてんの?

オレ無理だよ?
これ、たぶんオレには無理なやつだよ?

おっかしいなあ。
引っ越しはするつもりだったんだけどさ。
こんな都会じゃなく、もっと郊外のはずたったんだよ。
郊外の広い家で、犬を飼うはずだったんだよ。
二人で犬散歩してさあ。
静けさとか、寂しさとか、そんなん無縁の暮らしをするはずだったんだよ。
嘘だろ?

いままでより広くて、いままでより日当たりの悪い家。
いままでより、熱源がひとつ少なくなった俺の家。

寒いな。
寒いよ。
寒いなあ。