bronson69の日記

いつか読み返して楽しむための文章。

前夜

あすの朝にはこの部屋を出ていく
いまは何も書きたくない

いつか今夜のことをどこかに書こう
書けるようになれたらいいな

そのときはなにか、
なにかもっとべつのかたちで

誰も知らない美しい川の
水底でずーっと磨かれ続ける
ピカピカですべすべの青い石

小さいころに閉じ込められた
真っ暗な押し入れの
すみっこで光る夜光塗料

もっともっと、なにかほかの、
まだ見たこともないような

いつか書けるようになるのかな
そんなふうになれるかな

あと半日でトラックがくる
ぜんぶ運び出してしまう

あと半日で
ここを出ていく
しらない街のひとになる