bronson69の日記

いつか読み返して楽しむための文章。

いたくないいたくない

ひとりの部屋に帰る。

あれからうれしいことがいくつかあった。
心配してくれる友達がありがたかった。
賃貸サイト巡ってたら予想外の掘り出し物と出会った。
新居候補のある街がとても素敵な街だった。
飛び込みで入った寿司屋が大当たりだった。

しんどいこともいくつもある。
仕事はうまくいかず、上司に怒られた。
ひとりの週末をやたらと長く感じた。
夜は相変わらず寝られない。
見たくもない夢ばかり見る。
金が無い。

毎日、ふとしたときに、胸が痛い。
うれしいことは、しんどいことを消してくれない。

いたみ。痛み。居たみ。伊丹。

いたいのいたいの飛んでいけ、
ってやって飛んでくもの、あれは実は痛みじゃない。
転んだ子どもは、痛くて泣いてるわけじゃない。
おまじないで飛んでくのは驚きと恐怖。
おまじないがくれるのは安心と優しさ。

あとに残るのはただの痛み。
泣くほどではないただの痛み。
しばらく治らぬ、でもそのうち治る、地味で確かな鈍い痛み。

熱源をひとつ失った部屋はやっぱり寒くて、でも掛け布団を出すのは面倒で、
僕はありったけのタオルケットを重ねてひっかぶる。
二人分のタオルケットは、ようやくひとり分の保温性能を発揮してくれる。
テレビを消して、電気を消して、眠れない眼を閉じてみる。
空気清浄機の音が響く。

いたいのいたいの、飛んでいけ。
心の中で声に出す。
効き目のなさに納得する。
そりゃそうだよ。
やっぱ痛いものは痛いもの。
痛いし居たいし居てほしいもの。 

きょうこそは眠れますように。