bronson69の日記

いつか読み返して楽しむための文章。

焼き鳥

例えばさあ、夜中に急に焼き鳥が食べたくなることって、あるでしょう。
彼女は言った。

ネットで開いてる焼き鳥屋を調べて、自転車をとばして、ちょっと多めにお持ち帰りを買うでしょ。
で、また自転車こいで、家に帰るでしょ。
玄関あけて、そこで初めて、あ、やっぱり焼き鳥じゃなかった、って気づくの。

まだ焼き鳥は温かくてさ、量だってたっぷりあって、ちゃんと美味しそうなんだよ。

でももう違うんだ。
焼き鳥なんかすこしも食べたくなくて、これどうしようって途方にくれるんだよ。

なんでだろうね。
ついさっきまで、確かに焼き鳥が食べたかったはずなのにね。

あれって、勘違いなのかな。
それとも、どこかで気持ちが変わっちゃうのかな。

わからんねえ、と僕は言った。
そのふたつに違いはあるのかな。
勘違いでも変わったのでも、結局薬局おんなじことでしょ。

そうかなあ。
なんかさあ、最初っから勘違いだったってさあ、焼き鳥に失礼じゃない?
最初の食べたい気持ちは本当だった、っていうほうがまだ、焼き鳥だって成仏できるんじゃない?

だからおんなじなんだって。
最終的に厄介者扱いされるのはどっちだっておんなじなんだから。
成仏なんて、できないよ。

そうかなあ。
そうだよ。

そんなことより、どうすんの、この焼き鳥。
どうしようか。
どうしようね。

どうしようか。
どうしようね。

困ったね。
ほんとにね。