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bronson69の日記

いつか読み返して楽しむための文章。

飲みにいく

彼女と飲んでる。
割りとはっきりとした言葉をもらって、体もだんだん別れを理解してきている。
混乱はおさまりつつある。
今だけかもしれないけれど。
先のことはわからない、しょうがないよな。

7年間、われわれはほとんどいつも二人だった。
二人で会話をしていた。
会話。会話。会話。
こんなにも言葉が通じる人は初めてだった。
それは彼女も同じだったようで、とにかくずーっと会話をしていた。
話題がつきることなどなかった。
話題なんてなんだってよかった。
優れたレスラーはホウキとプロレスが出来る、そう言ったのは猪木だったかルー・テーズだったか。
われわれはどんな話題でも笑いに変えることができた。
誰もを笑わせられるかといえば、それはわからないけれど、少なくとも僕と彼女を楽しませるには充分だった。
7年間、ずーっと。

昼間、少し長い時間、メールを交わした。
もういいよ、もうわかったから謝罪はいらない。
それより普通にしよう、普通にいつものやり取りをしよう。
僕はそう言って、彼女もそれを望んだ。
とりとめのないやり取りをした。
仕事の話、飲み屋で見た変な人の話、スポーツジムでおばさんに怒られた話。
話題があり、転がりがあり、笑いがあった。
懐かしいやり取りがあった。
こんなやり取りもできなくなってしまうのかな。
彼女が言った。
まあ、こういうやり取りくらいはいいんじゃない。
僕はこたえた。
惜しいのだ。これほどまでに手の合う相手は、他にいないのだ。
僕も彼女も、それをわかっているのだ。

別れが惜しい。
わかり合えるこの感覚が惜しい。
いつまでもこうしていたい。
馬鹿な話を続けていたい。
きっと彼女もそう思ってる。

でもたぶん終わるのだろうな。
そんな気がする。
たぶん、きっと、終わってしまう。
年を超えるころまでに、終わってしまう。

「本当は分かってる
 二度と戻らない美しい日にいると
 そして静かに心は離れていくと」

小沢健二の「美しさ」の一節。
いつだって正しいな、この言葉は。
僕はまた美しい日に出会えるのかな。
ひとりの時間に、寂しさに耐えられるのかな。

彼女はテーブルに伏して寝ている。
僕はひとりでウーロンハイを飲んでいる。
僕らはどうなるのだろう。
僕と、この人は、この先どんなふうに生きていくのだろう。
願わくばそれぞれにそれぞれの幸せがあらんことを。
そしてちょっぴり願わくば、その幸せを分かち合う日が来んことを。