bronson69の日記

いつか読み返して楽しむための文章。

美しさ(名づけについて)

名付けというのは、簡単なようで難しく、難しいようで簡単である。なにしろどんな名前だって呼んでればそのうちしっくりきてしまう。慣れから逃れることは誰にもできない。高輪ゲートウェイ駅にもそのうち違和感を覚えなくなる。そんなお手軽なものであるの…

日記

初めての店で散髪をした。カット二千円の安床で、眉毛カットもつけて二千五百円。長さは二ヶ月分くらい切って、ついでに厚くなってるとこを梳いてもらって、と頼み、椅子に座ってエプロンをかけ、眼鏡を外して、そのまま雑誌に目を落とす。おとなの週末の谷…

日記

リビングでひとり夜更かしをしたあと、電気の消えた寝室に入ると、妻が不規則な寝息をたてていた。 寝息の乱れは妻が悪夢を見ているときのパターンなので、やさしくゆり起こして、どうしたの、いやな夢でも見たの、と聞いたら、はんぶん寝ている声で、「悪夢…

日記

軽い気持ちで、浅い中身で、さらさらとメモを取るように日記を書いてみようと思う。書くときの自分を隙だらけにして、なるべく指にまかせて、推敲なんてやらないで。そうやってどうでもいいことばかりを連ねていって、閉め忘れたドアの隙間から何かがひゅる…

日記

東京に帰る新幹線はUターンラッシュで混雑しており、きっちり満席になっていた。我々の席は車両の端から3列目、座席に座るとデッキのほうから「キャアアアアア!キャアアアアア!」と甲高い悲鳴のような鳴き声が聴こえてくる。怯えた犬でもいるのかしらと目…

日記

そういえば世の中がみんな休みのときに帰省するとこんなことになるんだったな、と思い出すような帰省であった。新幹線ホームは大混雑、名物料理のお店は大行列。今回はそういうのはもう早々に諦めて、ごはんはほとんど実家で食べ、外ではコーヒーを飲んで、…

日記

安産祈願で神社にいったら立て札に「昔々、殿さまがお城を作っていたら、それはそれは大きな岩が出てきて、あまりの大きさに殿さまのテンションがブチ上がっちゃって、『うわー大きい!めでたい!奉ろう!』みたいなノリでこの神社ができました」という説明…

日記

きょうから夫婦で盛岡へ。早起きして新幹線の時間より一時間はやく東京駅に行き、丸の内のVIRONでパンを買う。地元にはお高級なパン屋さんがないのでそのようなパンをお土産に買っていくと母がことのほか喜ぶのだ。お土産用のパンと、自分たち用のパンを買い…

キングオブコント2021(というか空気階段)

空気階段おめでとう。最高の大会だった。今年は「変なやつにツッコむのではなく、受容する」ことで笑いを作るネタが多く、そうじゃないネタは「古い」とジャッジされるような雰囲気があった。ポリコレとか放送コードとかもうそういうことでもなく、単純に世…

シンエヴァ見てきた(ネタバレあり)

見てきた。 薄っぺらい自意識に引きこもるのやめて社会に出ようぜ!他者と向き合おうぜ! ってテーマが旧劇のときから一切変わってなくてなんか感動した。 ただ、旧劇のときは「それを言ってるお前が一番自意識ぺらぺらやんけ」って感じだったのが、今回はち…

2020

2020年だった。ものすごく慌ただしくて、ありえんほど不穏で、この上なく不安で、とどのつまり何も変わらない一年だった。コロナのせいで世の中はものすごく変わった、変わったような気がした、でもいま振り返ってみると結局何も変わってなかったように思う…

靴の話

秋の訪れとともに誕生日がやってきた。誕生日なんてもう何十回と繰り返してきたわけだけど、今年はなんだかいつもよりたくさん歳をとったような気がする。急に冷え込んできたせいだろうか。枯れ澄んだ秋の空気のせいで急に老け込んだような気分にさせられて…

近況

色々あって忙しい。 そのうち暇になるかもだけど、いまのとこは、忙しい。 特に代わり映えしない感じでやっている。 サボテンの芽がぐんぐん伸びて嬉しかった。 めっちゃ縮んだガーゼマスクをつけたら乳首しか隠れないエロマイクロビキニみたいで面白かった…

ロロ「四角い2つのさみしい窓」

書きかけて放置していた文章を見つけたのでそのままアップ。 ロロ「四角い2つのさみしい窓」@こまばアゴラ劇場。 とても良くできたお芝居だった。 透明な防波堤。関係性への名付けの拒否。マガイものと本物を区別しないこと。境界線を架け橋にすること。 引…

君にいいことがあるように

2019年はあと2時間で終わり。 テレビの中ではPerfumeがキュベレイみたいな衣装を来てダンスしてる。 僕は座イスに座ってモツ鍋を食べながらそれを見ている。 隣では彼女が毛布にくるまりながらiPadを操り仕事をしている。 部屋の隅に飾られた黄薔薇の花弁が…

小沢健二「 so kakkoii 宇宙」

小沢健二。アルバム。 小沢健二については、信者と言ってもいいような大ファンを自認していることもあり、とても言いにくいのだけれど、今回のアルバム、この感じにはあまり乗れないな、というのが正直なところ。大好きなのは変わらないけれど、なんていうか…

無題

この家に越してきてもうすぐ2年になるが、駐輪場の横の木が金木犀であると気がついたのはつい先日のことである。彼女とふたり、遅い時間に帰宅して、なるべく静かに自転車を停めていると、家の鍵を開ける彼女がああこれ金木犀なんだねえ、と言ったのだった。…

キングオブコント2019(というか空気階段)

いちばん好きなTVショーが今年も終わった。 一言で、めっちゃ楽しかった。今年は審査がいまの5人に委ねられるようになってからベストの大会だったのではないだろうか。(審査員に期待するのをやめたとも言える、けど言わない) あまり長々と書く気分でもない…

大人になれば

週末から急に暑くなった。仕事は相変わらず忙しい。もう半年くらいずうっと忙しいので、だんだん忙しいのに慣れてきている。どうやら忙しいのコツは、ミスろうが間に合わなかろうが無理なもんは無理なんだわ仕方なかんべ、と本心からそう思うことのようだ。…

鉄クズ

ちょっと経験のないくらいの忙しさが数ヶ月続いている。一日一日を乗り切ってればそのうち馴れるだろうかと思っていたが、どうやらそういうものでもないみたいで、気がついたらなんかもうくっちゃくちゃに丸めた新聞紙みたいになってしまっている。疲れてい…

ダスト・バニー・ライド・オン

何日か前の夜中にタイトルだけ書いてそのままほかしといたら何を書こうとしてたんかまったくわからなくなった。なんぞミッシェル・ガン・エレファントのこと書こうとしとったんかなあ。でもいま別にミッシェルのことで書くことなんもないなあ。むかーし、リ…

ウンゲツィーファ「さなぎ」

ウンゲツィーファ「さなぎ」@東中野 驢馬駱駝。 東京は大雪の予報。 ぼんやりしている。 例えば夜と朝の間の時間。 まだ暗く、朝とは言えないのだけれど、さっきまでの夜とは明らかに異なっている。 黒だったものが紺になり、次第に群青になっていく。 ゆっ…

函館

9月の夏と秋の境目のころ、函館に行った。佐藤泰志の本と映画に影響されての旅だった。函館はよく晴れて、海風が強く吹いていた。空はどこまでも青く、海はさらに青かった。街には人影がなく、地震のせいで観光客が来ないのだ、とタクシーの運転手が教えてく…

総括(2018年の夏について)

夏の話をする。この夏はひどく鬱屈としていた。全身が鉛の気流に取り巻かれているみたいだった。遊びもしたし、楽しいこともそれなりにあったけれど、それは重たさを緩和する助けにはならなかった。とにかく何もしたくなかった。ここではないどこかへ行って…

夏の子供

すごくだらだらしている。だって夏なので。極度に面倒くさがりで、部屋なんかもうわやくちゃで、洗ったままたたんでない洋服とタオルに囲まれその真ん中で丸まっている。ぐるりと丸い洗濯物はまるで鳥の巣か魔法陣。鳥の巣ならば俺は雛だし、魔法陣なら召喚…

気晴らしに適当なことを

どうも最近よろしくない。悲しいことがあるわけでもなく、楽しいことがないわけでもなく、割と平穏無事にすごしているのだけれど、どうもあんまりよろしくない。いつも疲れていて、くさくさして、だらしなくて、虚ろで。人知れず下水に浮かぶ腐った水死体の…

4月と5月のモロモロ

今年に入ってからというもの、風邪ばかり引いている。年始に発熱。3月にインフル。治りかけて気管支炎。繁忙期を半死半生で過ごし回復したのは4月の終わり。5月の連休はがっつり遊んで、休み明けにまたしても風邪、咳と悪寒にゲホゲホガタガタ苦しみながら仕…

若葉のころ

密集した木造住宅と細く曲がりくねった路地とで名高い我が区だけれど、いま住んでいるあたりの道はやたらとまっすぐ伸びている。引っ越しのときに不動産屋から聞いた話によると、明治のころのこのあたりの村長さんが先見の明があるひとだったそうで、いくつ…

引き続き咳

相変わらず仕事と咳の毎日である。日々薄皮を剥がすように少しずつ快方に向かっていた咳はある時点から薄皮を積み重ねる方向に転換し、咳に加えて喘息の発作と発熱を伴うようになった。それも微熱。堂々と病欠できるほどではない微熱。だらだらと続く37度2分…

今週は咳ばかりしていた。仕事をしているときも、大人買いしたBANANA FISHを読んでいるときも、通勤電車でオードリーのANNのふかわりょうゲスト回を聴いているときも、のべつまくなしに咳ばかりしていた。風邪をひいてからはそこそこ時間も経っており、もは…